
ねじれて咲く姿が何とも可憐なネジバナ
6月を待っていたかのように芝生の中に小さく可憐な花を咲かせるネジバナ。
ラン科らしい平行脈の葉があるのを確認し、いつ咲いてくれるのだろうと楽しみに、芝生の中に生えてきた周りのほかの雑草を抜き、ネジバナの葉だけは残して開花を心待ちしていた5月。
次から次へと生えてくる芝生や庭、菜園の中の草取りや手入れなどに追われ、鮮やかな花に気を取られていると、やがて5月を彩った花々も終わりとなり、梅雨の6月を迎えています。
気がつくと、芝生の中にいつの間にかすっくりとしなやかで細い茎を立ち上げ、ピンクの小さな花をラセン状に下から上に向かって咲かせたネジバナが現れて、梅雨の季節の足元を光がさしたように明るくしてくれているのです。

6月を待っていたかのように芝生の中に咲くネジバナ
小さいながら芝生の緑の中に最も美しく映るピンク。
また、ほんの何ミリかの花を拡大して見ると、小さいながらにして立派にランだと、独特の形でわかります。6枚の花びらの形が同じではなく、下の1枚は唇弁(リップ)と呼ばれる変わった形をしています。

拡大するとラン科の花の特徴がはっきり
湿り気があって明るいところを好むというので、6月の芝生というのは生育に適した場所なのでしょうね。
日本全土、ヨーロッパ東部からシベリア、温帯・熱帯アジア、オセアニアなどに広く分布しているというネジバナ。
別名のモジズリの由来は、小倉百人一首の「みちのくの しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに」ではないとのこと。
この歌の「しのぶもぢずり」とは、絹布にねじれるように染色を施していた、陸奥国信夫(しのぶ)群(現在の福島県)の織物のことである、とする説が有力とのことです。
時代が下ってからラセン形の花の咲き方を織物の「しのぶもぢずり」に重ね合わせて、モジズリと呼ぶようになったのではないかということで、江戸時代にはモジズリと呼ばれていたそうです。
栽培もされて愛されているようです。
参考
多摩の緑爺の植物文化誌 http://www.geocities.jp/tama9midorijii/ptop/shi62.html