
衝撃の出会いだったスズメの群れの一員になったセキセイインコの飛翔
1月下旬にスズメの群れに紛れた愛らしいセキセイインコを確認後、何度も現地に足を運ぶのですが、それからセキセイインコはぱったりと姿を見せなくなってしまいました。
そのたびにEOS 6D MarkⅡでスズメの群れにレンズを向けて撮影をしてみるのですが、セキセイインコのいない寂しさでどうにも力が入りません。

拠点にしているしだれ桜の木に留まったヒヨドリを遠巻きにして留まるスズメたち
まるで工業高校の紅一点、またはベルサイユのばらに登場する近衛兵のオスカルのような存在だったセキセイインコ。
時を経て、その喪失感が薄れてくる中で、遭遇した不思議な現象についてネット検索してみます。
同じような現象は確認されているようです。
おそらくは籠脱けしたセキセイインコ。
スズメもセキセイインコも身を守るために群れを成す習性があり、籠脱けした可能性のあるセキセイインコはスズメの群れに紛れた、という説が有力のようです。
まるで、スズメの家族の一員のように見えたセキセイインコでしたが……。
スズメは特に見張り役やリーダーがいるのでもないのに、一羽の動きで反射的に同じ行動を起こすのだとか。
写真を拡大して観察してみると、スズメの中にはくちばしに泥を付けたままだったり、何かをくわえたままだったりするものもいます。
田んぼの泥を掘り返して虫などを探していたものも、一羽が飛び立ったのに合わせて、食事を中断して飛び立っている様子がうかがえます。

くちばしに泥を付けたままのスズメもいて、反射的に周囲に合わせて飛び立った様子がうかがえます
同じような群れ行動をするセキセイインコが、本来の繁殖地ではない日本の自然に放たれたとき、身を置けたのがスズメの群れだったということなのでしょう。
それにしても、あの愛らしいセキセイインコはどこに行ってしまったのでしょう?
あのスズメの群れを離れても、無事元の籠に戻るか、別のスズメの群れに身を置いて、元気でいてくれればいいのですが……。
原産地が日本ではない、カラフルな飼い鳥で、この度の出会いがあるまで関心を持ったことはありませんでした。
が、思いがけない現象で目にしたセキセイインコの行動は、見る者をすっかり虜にさせるような不思議な魅力と命の輝きといったものがありました。
スズメにも特別に注意を払うことはありませんでしたが、餌付けもでき、高い能力も確認されている様子。
群れの行動の数々を撮影してみて、その不思議や愛らしさも知ることができました。

拠点に桜の木に一斉に戻るスズメの群れ。くちばしに泥を付けたままのものや、何かをくわえているものも
生き物は、鳥は、なんと無垢の魅力を持ちまた放っていることでしょう。
それを追う人たちの気持ちが少し理解もできました。
スズメの群れの一員になったセキセイインコに背中を押されて購入したEOS 6D MarkⅡで、これからも命の輝きを放つ被写体を撮り続けていきたいと思います。