
7月中旬、弁天堂を背景に一面に咲き始めの蓮の花
咲き始めの花々が弁天堂を背景に涼やかな景観を成して
猛暑に見舞われた7月、それでも蓮の花便りの聞かれる上野恩賜公園・不忍池を訪ねました。
上野恩賜公園の南端に位置する、0.11㎢、周囲長2㎞の不忍池は、蓮池・ボート池・鵜の池の3つに分かれていて、蓮池は一面蓮に覆われています。
池を琵琶湖に見立て、中央には竹生島になぞらえた中之島を築き弁天堂を配置、蓮の花の開花時期は年間を通じて最も美しい景観を見せてくれます。
蓮の花は早朝に開き、昼にはしぼんでしまうので、午前中に現地に到着が不可欠。
JR上野駅からは10分ほどの距離でしょうか、汗だくになりながら到着すると、すでに観光客やカメラ持参の人たちの姿が。
炎暑で正午に近い時間で、まだ咲き始めの時期で数は少ないながら、遠くの弁天堂を背景に涼やかな景観を成してくれていました。

遠くにはビルが見え、ここが都心なのだと気づかせてくれる
この見事な景観は、時代を遡って江戸時代から浮世絵などにも描かれていたそう。
戦時中は食糧難から一時水田に姿を変えましたが、戦後の復旧作業によって、元の美しい姿を取り戻してきたといいます。
開いては閉じを3日間繰り返して4日には散ってしまうという蓮の花は、大きな葉や蜂巣とも呼ばれる果実とともに特有で、とても神秘的。
泥の中から汚れのない美しい花を咲かせることから、仏の智慧や慈悲の象徴とされてきています。
また地下茎のレンコンは、さまざまな薬効も注目され、穴がいくつも空いた断面から、「見通しが良い」と縁起物にもなっています。

咲き始めながら、すでに散って「蜂巣」となった果実も見られました
ということで、古来より慈しみ大切にされてきた蓮の花。
早朝の雲一つない晴天の日に再訪してみたいものです。
参考 不忍池・地図